指しゃぶり・舌癖が将来の口ゴボに?子どものうちにできる予防策

「うちの子、いつまで指しゃぶりしてるんだろう…」

「口元がなんだか前に出てる気がするけど、これって口ゴボ?」

お子さんの可愛らしい仕草やちょっとした癖が、将来の歯並びに影響するかもしれないと心配になりますよね。特に、口ゴボという言葉を聞くと、「もしかしてうちの子も?」と不安を感じるお母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

安心してください。お子さんの指しゃぶりや舌癖は、適切な時期に気づいて予防することで、将来の美しい歯並びと健康な口元を守ることができます。専門的な難しい話は抜きにして、優しい気持ちで一緒に学んでいきましょう。

目次

指しゃぶり・舌癖と「口ゴボ」の関係って?

まず、「口ゴボ」ってどんな状態を指すのでしょうか?
口ゴボとは、唇が前に突き出て、口元が膨らんだように見える状態を指す俗称です。医学的には「上顎前突(出っ歯)」や「上下顎前突(上下の顎が前に出ている状態)」といった不正咬合の一つとして考えられます。

お子さんの指しゃぶり舌癖が、この口ゴボに大きく関係していることがあるんです。

指しゃぶりが口元に与える影響

赤ちゃんが指しゃぶりをするのは、お腹の中にいる頃からの自然な行動です。しかし、成長しても指しゃぶりが長く続くと、お口に良くない影響が出てくることがあります。

指しゃぶりは、指で上の前歯を前に押し出し、下の前歯を後ろに押し込む力がかかります。これが毎日繰り返されると、次のような状態につながることがあります。

  • 出っ歯(上顎前突):上の前歯が前に出てしまう状態です。
  • 開咬(かいこう):奥歯を噛み合わせても、前歯の間に隙間ができてしまう状態です。
  • 狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう):歯が並ぶ上顎のアーチが狭くなること。
  • 上顎の骨の変形:指しゃぶりで上顎の骨が変形し、不正咬合につながることもあります。

舌癖(舌の悪い癖)が口元に与える影響

「舌癖(ぜつへき)」とは、舌が正しい位置になかったり、食べ物を飲み込むときに舌が歯を押してしまったりする癖のことです。舌の正しい位置は、口を閉じたときに舌の先が上の前歯の少し後ろにある「スポット」と呼ばれる部分に軽く触れ、舌全体が上顎に吸い付いている状態です。

舌がこの正しい位置にない「低位舌(ていいぜつ)」の状態や、舌で歯を押し出す「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」などがあると、次のような影響が出ることがあります。

  • 口ゴボや出っ歯
    舌が前歯を継続的に押すことで、歯が前に傾いたり、顎の成長が妨げられたりして、口元が前に出てしまうことがあります。
  • 開咬
    指しゃぶりと同様に、舌が前歯の間に入り込むことで、前歯が閉じない状態になることがあります。
  • 発音への影響
    舌が正しい位置にないと、サ行、タ行、ラ行などの発音が不明瞭になることがあります。
  • 口呼吸
    舌が下がっていると口がポカンと開いてしまい、口呼吸になりやすくなります。口呼吸は、虫歯や歯周病のリスクを高めたり、顔の成長にも影響したりすることがあります。

いつまでにやめるべき?年齢の目安と専門家の見解

お子さんの指しゃぶりや舌癖、「いつまでにやめさせればいいの?」と気になりますよね。

多くの小児歯科医は、3歳頃までは指しゃぶりは生理的なものであり、無理にやめさせる必要はないと考えています。この時期の指しゃぶりは、精神の安定や口の周りの筋肉の発達にとって重要な役割があると言われています。

しかし、4歳以降も頻繁に指しゃぶりが続く場合は、歯並びに悪影響を与える可能性が高まります。

特に、歯や顎の骨が大きく成長する時期なので、この時期の癖は注意が必要です。

日本小児歯科学会認定の小児歯科専門医の見解でも、6歳以上で頻繁に指しゃぶりをしている場合は「問題」とされています。小学校に上がる前までに指しゃぶりをやめると、自然に元に戻ることも多いようです。

舌癖についても、早期発見と対策が重要だと考えられています。お子さんの成長に合わせて、焦らず、でも「そろそろかな?」と意識して見守ってあげることが大切ですね。もし心配な場合は、早めに歯科医院に相談してみましょう。

お家で楽しくできる予防・対策

お子さんの癖を直すのは、親御さんにとっても根気のいることです。でも、楽しく、無理なく取り組める方法がたくさんありますよ。

指しゃぶりをやめる工夫

お子さんが指しゃぶりをするのは、眠いときや不安なとき、退屈なときなど、気持ちを落ち着かせたい時が多いと言われています。無理に叱ったり、指を引っ張ったりすると、かえって逆効果になることもあるので注意しましょう。

  • スキンシップを増やす
    手を握ったり、抱きしめたり、たくさん話しかけたりして、安心感を与えてあげましょう。
  • 手遊びや絵本を取り入れる
    指を使った遊びやお気に入りの絵本を読んであげることで、指しゃぶりから意識をそらすことができます。
  • 「もうお兄さん(お姉さん)だね」と優しく声かけ
    3歳頃になると、「赤ちゃんがすること」と理解できるようになります。「恥ずかしいこと」と伝えつつ、決して責めずに、やめられたらたくさん褒めてあげましょう。
  • 生活リズムを整える
    規則正しい生活は、お子さんの心の安定につながります。
  • 退屈させない工夫
    遊びのレパートリーを増やしたり、体を動かす機会を作ったりして、お子さんが暇を持て余さないように工夫することも大切です。

舌の正しい位置を意識させる方法(舌トレーニング)

舌癖を改善するためには、「口腔筋機能療法(MFT)」と呼ばれる舌のトレーニングが効果的です。お家でできる簡単なトレーニングもあるので、親子で楽しくチャレンジしてみましょう。

  • スポットポジションを意識する
    舌の先を上の前歯の裏側にある歯茎の膨らみ(スポット)に軽く触れさせ、舌全体を上顎に吸い付ける感覚を覚えさせます。
    • (イラスト:舌の正しい位置(スポットポジション)の図解。舌先が上の前歯の裏の少し奥に触れ、舌全体が上顎に吸い付いている様子)
  • 「ポン!」トレーニング:舌全体を上顎に吸い付けてから、「ポン!」と音を立てて舌を離す練習です。舌の筋肉を鍛え、正しい位置を覚えるのに役立ちます。これを10回程度繰り返してみましょう。
  • ガムを使ったトレーニング:キシリトール入りの無糖ガムを使い、口の中で丸めたり伸ばしたりする練習も効果的です。

これらのトレーニングは、発音の改善や顎の成長にも良い影響を与えます。

歯科相談・マウスピース・専門的対応

「色々試したけど、なかなか癖が治らない…」「口元が気になる…」と感じたら、一人で悩まずに歯科医院に相談することが大切です。

  • 小児矯正専門の歯科医院
    子どもの歯並びや顎の成長に詳しい専門医に相談することで、お子さんに合ったアドバイスや治療法を提案してもらえます。
  • マウスピースや矯正器具
    指しゃぶりや舌癖が原因で歯並びが悪くなっている場合、お子さんの成長段階に合わせて、マウスピース型の装置や簡単な矯正器具を使って改善できることがあります。
  • 口腔筋機能療法(MFT)
    専門家の指導のもとで、より本格的な舌のトレーニングを行うことも可能です。

子どもの頃の矯正治療は、顎の骨が柔らかく成長期にあるため、効率的に歯並びを整えられるというメリットがあります。将来的に抜歯を避けられたり、成人矯正が短期間で済んだりする可能性も高まりますよ。

おすすめグッズ紹介

お子さんの癖を改善する手助けになるようなグッズもたくさんあります。無理なく楽しく続けられるものを選んでみましょう。

楽しく続けられる舌トレーニング用アイテム

舌のトレーニングは、毎日続けることが大切です。お子さんが飽きずに取り組めるような工夫がされたアイテムを活用してみましょう。

  • 舌の正しい位置を意識させるマウスピース
    就寝中や日中短時間装着することで、舌が正しい位置にあることを自然と意識できるような設計のものがおすすめです。柔らかいシリコン製で、お子さんの口に負担がかかりにくいものを選ぶと良いでしょう。
  • 舌の筋肉を鍛えるトレーニング用具
    舌を吸い付けたり、押し上げたりする動きをサポートする、遊び感覚で使えるトレーニング用具もあります。動物の形をしていたり、カラフルな色使いだったりするものが、お子さんの興味を引きやすいでしょう。

自然にやめられる指しゃぶり防止グッズ

指しゃぶりを無理なく卒業できるよう、お子さんに合わせて様々なタイプのグッズがあります。

  • 苦味成分配合のマニキュア・クリーム
    爪や指に塗ることで、口に入れたときに自然と嫌な味を感じさせ、指しゃぶりを抑制するタイプです。天然由来成分や食品成分で作られていて、お子さんが舐めても安心なものを選びましょう。
  • 指しゃぶり防止用手袋・ミトン
    通気性の良いメッシュ素材や肌に優しい柔らかい素材でできた手袋やミトンは、指しゃぶりをしにくくする効果が期待できます。指の動きを制限しすぎず、マジックテープなどでサイズ調整ができるものが便利です。
  • 指に装着する矯正器タイプ
    指を吸えないような特殊な形状のシリコン製器具を指に装着するタイプもあります。

まとめ:早めの気づきで安心。焦らず無理なく習慣を改善していこう

お子さんの指しゃぶり舌癖が、将来の口ゴボ歯並びに影響する可能性があることを知って、少し驚かれたかもしれませんね。
でも、心配しすぎる必要はありません。大切なのは、親御さんがこの問題に早く気づき、適切な時期に無理なく予防直し方を実践していくことです。

3歳頃までは温かく見守り、4歳以降も癖が続くようであれば、楽しく遊びながら、あるいは優しい声かけで少しずつ改善を促していきましょう。もし、ご家庭での対策が難しいと感じたら、迷わずに歯科医院に相談してください。専門家のアドバイスやサポートを受けることで、より安心してお子さんの口元と歯並びを守ることができます。

お子さんの健やかな成長のために、焦らず、無理なく、一緒に取り組んでいきましょうね。

《参考文献》
日本小児歯科学会「指しゃぶりと歯並びの関係」
歯科衛生ジャーナル 「口腔習癖と顔貌形成」
厚生労働省 子どもの口腔発達に関するガイドライン

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